PB13th 銀河鉄道の夜 SOUNDTRACK LINERNOTES
DVD/Blu-rayお買い上げ誠にありがとうございます。舞台中流れた数々の音楽もCD版として末長くお楽しみ下さい。今回は、稽古参加の初日に、全曲完成を目指してスケジュールを組んだので、その後の直しはあったものの、演劇人生でこんなに速く全体像が、出来上がった作品はありませんでした。更にオマケとして、1曲毎に解説(プチ情報)しているので、合わせて楽しんで頂けると、有難いです。
01:OPENING(TWO OF US)
「42:TWO OF US」に、堀田さんの素晴らしいナレーション入ったバージョン。実際に、使用した音源のままです。13島目にして初!影アナウンスを収録しました。
02:先生プラネター
最初は、何を勘違いしていたのか、プラネタリウムのような(会場中に星が光ったりする)照明演出がはじまると思っていました。なので浮遊感のあるシンセサイザーを使い、できるだけ上がっていくメロディーラインを意識しました。
03:銀河とジョバンニ
前曲「02:先生プラネター」からの続きとして、同じシンセの音色を使い、さらに軽い不穏というかひっかかりを出すために低音のメロディーを追加しています。
04:ジョバンニと祭り支度
「13:ケンタウル祭」-3バージョンといった所です。祭り支度という設定で、町のどこかで、太鼓の練習している音が聴こえているというイメージです。なので、リズムだけにしたバージョンです。
演出上、次のシーン(活版所)への切替でもあるし、暗転中の舞台上で着替えるというシーンでもあるので、ある程度タイミングが分かるように、長さも調整した音源です。
05:活版所
完全な効果音ではありますが、最初のアイデアとしては、ミュージカル風というか、活版所で働く人が口ずさむ歌があるという仮定で、作り始めました。でもちょっと違うなと思いはじめたので、方向転換。
本当の活版機の音をサンプリングし、それをリズムにしつつ、ランダムで言葉が彼方此方から歌のように聴こえるという形になりました。
今回の出演者に、好きな文字・三つづつ録音させてもらった上で、散りばめています。誰がどの文字を言っているか当ててみて下さい。
06:パン屋とジョバンニ
ここまでちょっと暗めで、静かなシーンが続いていたので、ここらでパーっと明るい音楽で空気を変えようと思いました。パン屋に向かうジョバンニのウキウキ感を6/8拍子のアコーディオンで曲にしました。入出のドアチャイムのタイミングは、曲に組み込まれていたので、たまに、ジョバンニのタイミングが面白いときがありました。
07:おっかさんとジョバンニ
この曲は、1人で「おっかさん&ジョバンニのシーン」を音読しながら、スピード、その場にある喜怒哀楽が馴染むまで、生み出さず、じゃあ本番です!と自分にスイッチをいれ、一発で録音しました。温かみのあるエレピ1色で、まるで歌いながら出てきたBGMです。
08:ジョバンニと影遊び
1曲目に提出した曲はボツになりました。 その曲は、宇宙との交信みたいな曲だったので、稽古場で聞いてもらった時、大間違いだと気付きました。
その後、井尻さんの演技を見せてもらい、派手でもなく、でも力強い、マリンバの音色が、頭の中で鳴ったので、無事2曲目で合格をいただけました。これは、当て書きというやつです。
09:雑踏1
「13:ケンタウル祭」-2バージョン。リズムとベースとなる民族楽器の短音だけが加わったバージョンです。そして、ほんのり雑踏の声を足しています。
10:時計屋とジョバンニ
ファンタジー映画にありそうな、引き込まれる系の音。深めのリバーブのピアノ。 時計屋ということで、いくつかの時計音のサンプリングを重ねました。 最初は、時計屋とジョバンニが気づく為に、キッカケとして、「カッコウ」を最初に配置しているのですが、実際には、フェードイン気味に入るし、他の役者台詞にもかき消され、最初の「カッコウ」がちゃんと聴こえたことが一度もありません(笑)
11 雑踏2
「13 ケンタウル祭」-1です。さらに祭りが近くなったイメージでリズムと弦楽器が少々、雑踏の声も多めです。
12:牛乳ばばぁ
ホラーを思わせる音を目指し、ディレイの効いた変なシンセと変な笛のメロディーを選びました。こういう曲は、作りやすいです。
13:ケンタウル祭
儀式のような太鼓がベースにあり、鎮魂を目的とするメロディーが鳴っているイメージ。こういう祭り音はリズム主体で、あまりメロディーはない方が良いかなと思ったのですが、そこはエンターテインメント、インストだけど歌っぽくしました。 サズとかリコーダーとか二胡とか、楽器の世界観は、無茶苦茶。
カチッとした打ち込みではなく、アナログで民族楽器を多用しました。
14:天気輪の柱
ここからお客様含めて、銀河鉄道のセカイに飲み込まれていく演出として、「SLの音」が円形ステージ中を駆け巡る様に出来ないかと音響さんにも相談したんですが、実現できず、爆音という方法論に落ち着きましたが、
・機関車の汽笛直前に入る薄い音量の刹那いシンセ
・「31:銀河へ」のピアノ旋律が他に丁度負けない音量
・堀田さんのナレーション「銀河ステーション〜」のエフェクトの掛け方
・着いてからの「淡々とした電車SE」のスピード
この全ての微調整を最後の最後まで、やりつつ出来上がりました。
15:星めぐりの口笛
当初は、口笛を本当に吹くという理想がありましたが、実現せず(笑) 口笛風な!?それに近しいシンセ音が、空想の中で鳴っているようなイメージです。
16:ハレルヤ1
役者の気持ちとして、あの♪ハレルヤー の旋律(歌)が、そのまま流れてきたら、明るすぎてその後の台詞が言えない…。 という話になり、パイプオルガンにして、マイナーコードも混ぜ、暗さを出したハレルヤに仕上げました。
17:プリオシン海岸の冒険
舞台は、海岸で水を感じられるよう、みずみずしいシンセをチョイスしました。 後半は、ジョバンニとカムパネルラの気持ちと共に、乾いた跳ねたスネアドラムで、冒険感を出しています。
18:大学士
教授といえば!?バロック風なハープシーコードが似合うと思いました。更に、堀田さんの重低音を邪魔しないよう、でも負けないよう、ちょっとだけ高めのキーでのフレーズを弾いています。
19:鳥捕り1
変なやつ出てきた。そして、それは悪モンなのか良いモンなのか、どっちにも取れそうなトーンを目指し、少しディストーションの掛かったマリンバと、低音のシンセを合わせたサウンドとなりました。
20:水の湧く音
元々、鳥捕りが、鳥を獲るシーンのSE(効果音)で使おうと思っていたんですが、「アルビレオの観測所」で聴こえてくるSE(効果音)に良いのではと演出が言ったので、そちらで採用となりました。ほぼ効果音ですが、キャッチなメロディーなるよう作りました。
21:鳥捕り2
もっと明るいSFみたいな曲を書いたけどしっくりこず、このなんともいえない張り詰めた、短音のシンセで、微妙に音階を変化させ、恐怖ともまた違った世界になりました。 で、羽の音を再三、「まだ足らない」「まだ足らない」「もっと追加して下さい」と何度か言われ、量を増やしていきました。 僕的にはヒッチコックの世界です。
22:タイタニック号
聞いた方はアレ?と思ったかもしれませんが、その通り!です(笑) あの曲を完全にモチーフにして、同じコード進行気味に進んでいきます。サビらしき所で、あの歌を歌いそうになり、違う感じになります。(ズッコケ注意です)真剣なシーンなのに、思いっきり遊んでいるハープとフルートで作った怪作です。
23:苹果の唄
初見で読んだ時に、ふわーっと弾けた曲です。こんな童謡がどこかに、あったら…というイメージです。オルゴールで仕上げました。
24:ヘラクレスの後悔
演出から「ヘラクレスの後悔」という曲を追加してくださいと言われ一番最後に作った曲です。 大型新人!?大須賀が、音楽に酔わないで、1人台詞でお客様を酔わしてしまう事を目指し、曲の長さも決めて、追い込みました(笑) 勇ましいリズム、オルガン、トロンボーンやトランペットが鳴り出して、ピアノでどんどん展開していく作りにしました。今思えば、音楽家のエゴではありますが、ここは、絶対そうしたかったのです。当初は、イメージ通りに、いかなくて、最後の最後まで、イントロを伸ばしたり、テンポを調整したりして、とても大変な1曲でした。
25:双子のお星さまのお宮
当初は「26:星めぐりの歌(Inst version)」をずっとループさせて使うつもりでしたが、役者が曲に合わせてしまい、台詞がゆっくりになってしまい全体がとても長くなってしまったので、邪魔しない程度にテンポを上げて、展開も付けて、HIPHOPなリズムも混ぜたりして、工夫をしました。
26:星めぐりの歌(Inst version)
双子がうたう歌のインストバージョンです。ハープからはじまるシンプルなアレンジにしました。最初はどっちかが低いし、どっちかが高いし、キー設定が大変でしたが、最終的に、無茶でもなく、楽もさせないキー設定に落ち着き、みんなで歌うことにもなり、最高なシーンとなりました。是非映像で見てください。
27:蠍の火
初めて読んだ時に、このピアノで出てきました。 あんべ演劇作曲人生、最も得意な(良くありがちとも言う)世界。 最終的には、ピアノだけなので、優しく仕上げず、むしろ痛いくらい、強いイコライジングにしてあります。
28:ハレルヤ2
「讃美歌306番」と「喜びの歌」が合体したような作りです。
♪ハレルヤー ほど明るく入らず、でも召されていく世界を、ゴスペルのvocalサンプリングを使って、パイプオルガンと共に仕上げました。
29:空-kara-
「5/4拍子」というちょっと普通ではない拍の曲で、つまずきというか、引っ掛かりを作りたくて出てきました。
元々は、一番最後の「ジョバンニとカムパネルラ父のシーン」の為に作ったけど、一度ボツになりましたが、「ジョバンニとカムパネルラの別れのシーン」で再選となりました、、、
このシーンは劇的な曲のイメージだった為、こんな静かな曲で良いのか?と思ったんですが、ジョバンニの心情としてはこういう曲だと、西山とマツガサキに言われ、あとあと理解してきて、しっくりくるようになりました。
暗い夜空で吹く風のような(ノイズの様な)ストリングスに、浮遊するシンセメロディー、悲しいけど、それだけでもなく、とても芯のある曲になりました。
30:牛乳屋とジョバンニ
牛乳屋の「すっとぼけた世界」をファゴットの音色とマリンバを使い、緩やかなテンポで作りました。
31:銀河へ
ベートベンの「熱情」みたいな激しいピアノ旋律で、ジョバンニの渦巻く世界を表現したかった。。
列車に乗る時と降りる時にこの曲をかけて、ブックエンドみたいにしたかったんですがボツになりました。
その後、今回は、苹果チームと蠍チームがある為、エンディングを其々変えてやるのはどうかと、提案しかけたんですが、結果、エンディング演出が特殊だった為、その案も即却下となりました。
さらに、その後「子供が水へ落ちた…」と言われ、ジョバンニが走り出すシーンで復活当選されました。
あと白状しますが、僕はこんなにピアノを速く弾けるわけではないので、テンポを半分にしてRecording、さらに綺麗にeditしたのち早いテンポに戻して完成した事をお許し下さい。
32:ここからはじまる
最初は、「子供が水へ落ちた…」から、ジョバンニが駆けていくシーンで使うつもりでしたが、1番最後のセリフ後が良いのでは?!となり、別場面での採用となりました。
無機質に繰り返すシンセのリズムに、強くも悲しくも儚くもあるピアノのメロディーを弾きました。本当は、もう少し長い曲だったけど、最後の演出に合わせて、良い所どりのメロディーにおさまりました。
33:銀河鉄道の夜(Curtaincall version)
まさか、こんなエンディングになると思っていませんでしたが(是非映像で確認してください。)「34:銀河鉄道の夜」の大サビからはじまって、Aメロに戻っていく形で、アレンジ的には逆回転しているのです。最後は、心臓を何回にするとか、どのタイミングで聞こえ始めるとか、演出といっぱい調整をしあの形になりました。
34:銀河鉄道の夜
本編では、この曲からアレンジを仕上げました。全てを包み込めるような。。この曲を抱いて、お客様が帰っていくことを目指して作りました!
これも、今回多用の6/8拍子です。気持ちの昂りに合わせて、どんどん展開し、転調していくオーケストラ風なアレンジになりました。THE エンディングテーマと言った所です。
-bonus track-
35:銀河鉄道の夜(episode 0)
予告ムービーを作るという事で、おおよその完成映像があり、過去作品の別曲も仮で当てはめられていました。1分という制約がある中、まだ読んでいなかった「銀河鉄道の夜」を一度読み、読み終わって鍵盤に向かい1発目に出てきたメロディーがこれでした。核となるメロディーとそれを繋ぐブリッジ的なもう一つのメロディー。それだけでは、つまらないので、最後にサビが転調していくこの曲。旨くいって良かったです。 余談ですが、出来上がって、「愛・地球博」のテーマソングに似ていると散々言われたのは内緒です。
36:ケンタウル祭(Jazz mix)
ここからは、開演までに劇場で小さく流れているBGMシリーズ。 今回は、「本編で使った曲のJazz ver.を作る!」が目標だったので、まずは、「ケンタウル祭」を使った「なんちゃってジャズバージョン」ノイズまじりのピアノとアコギがエモいです。
37:あくびの午後
今回は、全箇所に曲が入っているという野望を立てていました。その中で、演出上いらないなぁとなったら、使わない!という引き算方式でいこうと思いました。 この曲は、最初の授業シーンで流そうと作った曲でした。 午後の気怠さ・あくびが出そうな、そんな雰囲気をガットギターで表した1曲です。見事に、自分でいらないと判断でボツとなりました。
38:蠍の火(Jazz mix)
本編で使った曲のJazz ver.シリーズ2
原曲の印象的なピアノフレーズを使い、その後、ウットベースやトランペットが入ってくる展開のなんちゃってジャズです。
39:帰り道
学校帰りに、ザネリ達に会うシーン。 「嫌なやつ」と「戸惑うジョバンニ」の言葉にならない世界をシンセで作ったけど、演出に聞かす前にボツにした曲です。
40:パン屋とジョバンニ(episode 0)
当初、ルンルンしながらジョバンニが歌うシーンを提案しようと企んでいました。歌詞もなんとなく付いていたんですが、ちょっと違うかなぁ〜と思い、自分でボツにした曲です。
41:星めぐりの歌(Jazz mix)
素晴らしいメロディーラインなので、それを、なんちゃってジャズ風に弾きつつ、その流れで出たアドリブを足して、仕上げました。
42:TWO OF US
モチーフとしては最も最初に出てきた曲です。2023年の秋 PBメンバーと泊まりがけで行った岐阜で、BBQをしている最中、ベロベロに酔って、「銀河鉄道の夜」について話をしていた時に、頭の中にこのメロディーが急に走り出して、急いで、部屋に戻り譜面に書き留めました。その時は、これが今回のテーマ曲になると思っていました。オーケストラ風なサウンドを目指して、作業も進めていましたが、途中でなんか面白くないなぁーと思い始め、曲自体も「ボツだ!」と、ギリギリまで思っていました。しかし、最終的には、影アナウンスと共に、PIANOverとして、「01:OPENING(TWO OF US)」で、救われる運命となりました。
めでたしめでたし。
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